第八回「言えないことがあるならば」

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Tee break

浅沼晋太郎の 無駄なTee考はやめて出て着なさい

第八回「言えないことがあるならば」

2008年02月01日

前回、時には言いたいことを言うべきだみたいなことを書いたが、そこは人間。面と向かって、口に出して言えない場合もたくさんある。なんらかの被害にあっても、相手が相手ということで泣き寝入りする者はいるし、ネットでは、名前を隠して意見を言う者が後を絶たない。あるいはよかれと思っても、その人のことを思うとなかなか言えない、という時だってある。「わきが」とか「チャック開いてるよ」とか「チャック・ウィルソンさん。あなたってそもそも普段何をやってる人なの?」とか。「会ったことはあるのに名前が全く思い出せない。だけど失礼だから聞く訳にいかない」という経験は誰でも一度はあるはずだ。

立場上「ごめんなさい」が言いにくい人もいるかも知れない。総理大臣とか、丸っきり昨日付けた振りと違う踊りをしてしまい、途中で引き返せなくなったダンスの先生とか、「今日、五十嵐君の給食費が盗まれました。先生は悲しい。誰かが名乗り出るまで、今日はみんな居残りだ」と言った数時間後、職員室の自分の机の書類の束の下から「五十嵐」と書いた封筒が出て来てしまった担任・山崎(35歳・独身)とか。でも、人として自分の非を謝ることは重要だ。目下の者に感謝の言葉を言える人、同じ目線に立ってあげられる人、頭を下げることの出来る人は、全く非の打ち所がない完璧な人間よりも、幾分か好感度が高いし、信頼される気がする。親近感がわくからだろうか。

プライドや臆病さが邪魔して何かが言えない、でも言った方がいい、言わなくちゃならないことは、種類は違えどたくさんある。「鼻毛出てるよ」だってそうだし、「結婚してくれ」だってそうだ。ストレートで行けない時は、策を練って練って練り込んだ上で、変化球を投げるべし。謝罪文やメールといった文字に頼るのもいい。誰かを介してもいい。数ヶ月かけて言葉を覚えさせたインコや、今は亡きファービーに言わせてもいい。負うかも知れない怪我が最小限になるように、考えあぐねることだ。という訳で、今回はこんな一枚。ラブ&ピースだのストップエイズだの色々ある中、かつてこんなに実用性が高いメッセージTシャツがあったろうか。効果のほどは分からんけど。

T-08.JPG

浅沼晋太郎浅沼晋太郎(あさぬま・しんたろう)

舞台、テレビ・映画、ラジオなどのシナリオライター、演出家。
俳優・声優としても活躍中。2007年、アミューズメントユニット「bpm」を結成。

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